用語解説コーナー 血が滾舞台用語辞典



消え物(きえもの)
2012.04.12 OA


舞台で使われる小道具類のうち、使うことでなくなってしまう消耗品の事を『消え物』と呼びます。
消えてなくなる物だから、消え物。そのまんまですね。

消え物で特に多いのは、飲食物でしょうか。脚本の指定で食事シーンなどがある場合、演出によって物を使うかマイムで「あるように見せる」かはその時々ですが、現物を使う場合はその飲食物は食べてなくなってしまい再利用は出来ないので『消え物』になります。
他には演技上、劇中で壊してしまうもの(花瓶やガラスなど)も『消え物』ですし、燃えてなくなってしまうもの(ロウソクやタバコ)も『消え物』です。手紙を読んでいて激昂し破いてしまうならその手紙も『消え物』ですし、新品のエンピツを削るシーンがあればそのエンピツも『消え物』です。
また、一日や二日の公演なら消え物ではないのに、長期公演だと消え物になってしまうものもあります。例えば、生花。一ヶ月、二ヶ月と公演が続けば当然、生き生きとした姿を保つことは出来ませんから追加で用意する必要が出てきます。

ちょっと変わったところでは、ホラーやアクションで使う血糊や弾着、火薬も消えてなくなってしまう『消え物』ですね。

また、そもそもは「舞台上で演技によってなくなるもの」を指していた言葉ですが、今では意味が広がり、演出効果用の氷やドライアイスなど舞台裏での消耗品も『消え物』と呼んだりします。

『消え物』はその特性上、通常の小道具と違い大量に用意しておく必要があります。最低限、公演回数分。リハーサルや稽古でも使うならその分も必要ですし、少し予備を用意しておく事も考えなくてはなりません。用意すればするほどお金がかかってしまうわけですが、公演中に足りなくなったら大変ですからね。数ヶ月にわたる公演で消え物が使われる場合、舞台裏には大量の「消え物箱」が置かれていたりもします。
血が滾でも昔、出来るだけ出費を抑えようとした結果、血糊の量が足りなくなりかけて大慌てした事があります(稽古で調子に乗って使いすぎました)。血糊なんて、そこらのスーパーには売ってませんから焦りましたよ・・・

ちょっとした小物から派手に消えていく大物まで、舞台では様々な『消え物』が使われています。
舞台そのものも、決して後には残らないその場限りのものであるという意味では、『消え物』なのかもしれませんね。


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