用語解説コーナー 血が滾舞台用語辞典



顔合わせ(かおあわせ)
2013.1.17 OA


稽古の初日、すべてが始まる前にキャスト、スタッフが勢ぞろいして挨拶する時間があります。これを、『顔合わせ』と言います。これからの稽古期間、共に芝居を作りあげていく人たちと初めて出会う、大切な時間ですね。

『顔合わせ』は単に自己紹介と挨拶だけして親睦会のような形で終わる場合もありますし、そのまま初稽古(ほとんどの場合は『読み合わせ』)に移行する場合もあります。まぁどんな場合でも、演出家から内容についての話、制作からスケジュールについての説明、なんかは大抵ありますね。時にはこの日に初めてキャスティングが発表されたり、台本が配られたりすることもあります。ドキドキしますね。

また、ジャンルや所属の違う俳優が共演する事を『あの○○と○○が、異色の顔合わせ!』というように煽る事があります。相撲なんかでも初めての対戦の時に『初顔合わせ』と言ったりしますよね。こちらの使い方も、「互いに顔を合わせる、出会う」という意味からのものです。

関係者が勢揃いして挨拶を交わす事を、『顔寄せ』という言い方で呼ぶ場合もあります。『顔寄せ』は明治期に生まれた歌舞伎用語。歌舞伎興行の稽古に入る前に、上演関係者全員が集合して、作者が狂言名題を読み上げ、一本締めで手締めを行って散会する儀式のことでした。これが広まり、歌舞伎以外の舞台公演でも関係者が顔を合わせる事を『顔寄せ』とも言うようになったのでしょう。
由来的には「関係者が集まって挨拶すること」にはこちらの『顔寄せ』を使うのが正しく、『顔合わせ』は「ジャンルや所属の違う俳優が共演すること」にのみ使うべきなのかもしれませんが・・・今ではどちらも『顔合わせ』と呼ぶのが一般的だと思います。


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